DMPと3PASは今後どうなる?Google サードパーティポリシー変更の背景考察

Google サードパーティ ポリシー変更の影響範囲

2015年1月、GoogleはDMP企業に対して、DMPによるデータ収集(DMPタグの入稿)を制限しました。これによって、DMP企業、DMPを利用して効果測定を行ってきた広告主に影響が出ました。

Googleのディスプレイ広告「GDN」は費用対効果の高いディスプレイ広告として多くの広告主が利用しています。しかし、広告主はGDN以外にも様々な広告キャンペーンを実施しており、これらメディアを横断して効果測定を行うために活用されてきたのがDMPです。DMPタグによるデータ収集が禁止されたことで、GDNを利用している広告主はメディアを横断した効果測定ができなくなりました。

今回のポリシー変更の背景(私見含む)

3PASはOKだが、DMPはNG

Global Adtechの記事を読んだところ、「データ漏洩への対策」が大きそうです。ここで、1つ疑問が残ります。

3PASはOKなのに、DMPはなぜNGなのか?

「データ漏洩への対策」が目的であれば、なぜ3PASはOKで、DMPがNGになったのか?Googleが許可した3PASに限られますが、システム上は3PASでのデータ収集も可能です(データの蓄積には向かないですが)。

そこで考えたのが、「3PASとDMPの違い」です。

3PASとDMPの決定的な違いは「広告配信システム(アドネットワークやDSPなど)のコスト負担」です。3PASはアドサーバーを持つことで、DSPが本来負担するはずの「トラフィック費用」「ストレージ費用」を負担します。一方DMPは、広告インプレッションのタイミングでピクセルタグを一緒に呼び出すだけなので、配信におけるコストを一切負担せず、データ収集していることになります。

アドネットワークやDSPでは、巨大な広告ネットワークに対して大量の広告を配信するので、純広とは比較にならないほどの膨大なインプレッション(トラフィック費用)が発生します。そして、数多くのクリエイティブを最適化しながら切り替えていくため、多くのクリエイティブを保存しておくサーバーが必要です。リッチメディアになれば、ファイルサイズは静止画の数百倍以上になるので、それだけ大きなサーバー(ストレージ費用)が必要になります。

このように、3PASは広告ネットワークを使った広告配信の欠点・課題とも言える部分を負担してくれるので、広告配信システムから見ると良いパートナーなのです。

また、3PASの主な機能は、DMPのように“データの蓄積”ではありません。しかし、DMPは完全にデータを取得・蓄積を目的としたシステムです。DMPはパブリッシャーからの立場からすると「(対価を支払わずに)許可なくデータを取得している」というイメージがあるので、このような見え方の部分も今回のポリシー変更の背景にある気がします(※あくまで個人の考えであり、明確な根拠はありません)。

3PASとDMPについて

日本において、名前が先に出てきたのは確か「3PAS」の方だったと思います。アドエクスチェンジやDSPが登場して、広告主のメディアを横断した効果測定ニーズに応えたのが3PASでした。しかし、3PASの価値はそれだけでなく、リッチメディア配信、シーケンス配信(広告シナリオの設計)など、効果測定以外の部分もあります。

ただ、3PASを導入した企業の多くが求めた3PASの価値とは「広告効果測定」の部分だったと思います。国柄なのか、日本では「攻め(配信)」より「守り(効果測定)」が重要視されるイメージがあります。

さて、この後にDMPが登場しました。DMPが得意とするのは“あらゆるデータの蓄積”です。データの蓄積においては3PASよりもDMPが優れているので、効果測定ツールとしての3PAS利用が中心だった日本では、DMPへの切り替えが起きました。

今回のポリシー変更は3PASにとってプラスか?

ここでポリシー変更の話に戻りますが、DMPによるGDNのデータ収集ができなくなってもGoogleから許可されている3PASでのトラッキングは可能です。そのため、もしかしたら多少は3PASにとって追い風になるかもしれません。

ただ、個人的な見解としては、効果測定(データ収集)の部分はDMPに任せて、3PASには、より“攻め”の部分を担わせる方が良いと思っています。DMPでオンライン以外のマス広告のデータや、DM、メール、アクセス解析などのデータを蓄積して、3PASではDMPに蓄積されたデータからシナリオを設計して、配信をマネージする。そんなポジション(と見せ方)が、3PASには合う気がします。

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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