RTB(リアルタイムビッディング)の仕組みとアドテク基礎知識

投稿者:Turn

スピーディーな広告取引を実現する「RTB(リアルタイムビッディング)」

RTBとは、簡単に言うと「広告の取引をよりスピーディーにできる技術」です。広告主とメディア(媒体)をリアルタイムで結ぶことで、広告主にとってはより最適化された広告配信を、メディアにとっては広告収益の最大化を、そしてユーザーによってはより有益な情報の提供を実現します。このRTBについて詳しく解説していきしょう。

RTB(リアルタイムビッディング)

そもそも、RTBという言葉に馴染みのない方は多いでしょう。これは「Real-Time Bidding(リアルタイムビッディング)」を略したもので、日本語では「リアルタイム入札」と言い換えられます。尚、この技術のベースとなっているのが、オークション形式による広告の入札です。それをリアルタイムで行うことから、このような呼ばれ方がされています。

オークションはインターネット初期から非常に馴染みがある方式です。中でもYahoo! JAPANの運営する「ヤフオク!」によるコンシューマー間の取引は、現在見られるインターネットの隆盛を築いた大きな要因と言えるでしょう。

これと同じように、1インプレッション(広告表示)に対して入札を行い、最も高い入札者の広告がそのターゲットユーザーへと表示される仕組みこそがRTBです。

例えば、自社の他に3社が広告掲載を狙っていたと過程しましょう。自社が120円で入札し、他社Aが100円、他社Bが90円、他社Cが50円としていれば、最も入札価格が高い自社の広告が配信されます。もちろんリアルタイムですから、入札結果は素早く確認することが可能。タイムラグなく配信が行われます。

全体を理解してもらうためのアドテク知識

RTB入札のみを解説しても、アドテク全体の成り立ちが見えなければ理解は深まらないでしょう。インターネット初期には、各広告枠に対して固定で広告が出稿されていました。アクセスするたびに切り替わる場合があるので、一枠に一つの広告とは限らなかったのです。

しかし基本的には新聞や雑誌と同じく、載せたい広告枠に対して掲載料を支払うといった方法になります。「アドサーバー」の登場は、それを一歩進めました。ただアクセスごとに表示を切り替えるのではなく、掲載コンテンツやユーザーのニーズなどに応じて広告の出し分けを可能にしたのです。

次にこれを進化させたのが「アドネットワーク」の登場です。これによって細かなターゲティング、そして遥かに広い範囲の広告枠に対する掲載が可能になりました。

さらにこれ以降の技術進歩が、本格的なアドテク時代を進めたと言っても過言ではありません。それが、「アドエクスチェンジ」の登場です。

アドエクスチェンジとは、広告ネットワーク間で空いている枠に対して配信していく仕組み。その登場によって、配信プラットフォームが統一されました。そして、「DSP」が登場します。これは複数のアドエクスチェンジ、アドネットワークに対して広告配信ができる仕組みになります。

DSP(デマンドサイドプラットフォーム)が「より安く。効果的な広告配信を行いたい」という広告主側の仕組みであるのに対して、媒体側が複数のアドネットワーク、アドエクスチェンジを一括で管理し、枠の最適化を行う仕組みが「SSP」です。

媒体側は「なるべく高く、枠が余らないように」という考えでこのSSP(サプライサイドプラットフォーム)を使います。RTBはこのDSPとSSPを結び、リアルタイムに取引を行うためのシステムと言えるでしょう。

それぞれのメリットとデメリット

では、具体的に広告主がリアルタイム入札によって得られるメリットとは何でしょうか。それは、自分の思う値づけを行うことができ、入札によって争うことで適正に近い価格での取引ができるという点です。また、入札を1インプレッション単位で行えるため、無用な出費が避けられます。

加えて、情報に基づいた入札ができるといった点にも注目でしょう。この情報とは、掲載するサイトや枠ではなく、ユーザー各個人に関するものを現します。つまり多様なユーザーニーズやインサイトを考慮して入札できる否かが、担当者やWebマーケッターの力量となってくるのです。

一方で媒体側としても、複数の広告主からの入札が行われるため、広告枠に空きが生まれなくなってくるでしょう。例えば広告枠単位であまり需要が無かったサイトでも、ニーズの一致するユーザーがアクセスしてきた瞬間、その広告枠に最適なバナーが掲載できます。

また、取引価格についても触れておきましょう。買い手は最も高い入札金額の提示者ですが、その最高価格がそのまま落札価格にはなりません。広告主側にとって実際の落札価格は「セカンドプライス方式」が適用され、これは2番目に高い入札金額の+1円の価格になるというものです。

また、媒体側は「フロアープライス」という最低落札価格の設定があります。1インプレッション毎の収益を目安に下限となる落札価格を設定しておけば、非落札分を順広告等で補えます。このように、リアルタイムビッディングでは価格の不具合が起こりにくくなっているのです。

しかし、RTB入札にもデメリットがあります。それは、実際にはデータを有効に活用せず、多くの取引が行われているということです。海外でもこうした悩みは起きていますが、特に日本はデータ活用の理解がとりわけ低い国でもあり、より十分な活用がされていないというのが現状です。

加えて、Webマーケティング全般あるいはUXを考慮したWebサイトが用意されていないという、全体的なマーケティング意識の低さも、リアルタイム入札のメリットを大きく享受できないという課題につながっています。

そのため、媒体側に対して「この広告は効かない」という評価が広告主から下されてしまい、せっかくのアドテク市場が活性化しないという問題があります。

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この記事の著者

Turn

米国シリコンバレーに本社を構える、独立系アドテクノロジー企業。

広告主の収益を最大化するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)、「Campaign Suite」をはじめ、広告を配信するオーディエンスの全体像を知るためのDMP(データマネジメントプラットフォーム)、「Audience Suite」を世界五大陸に提供している。

2013年には日本支社を設立し、国内のDSP業界への参入を果たしている。

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