エンハンストキャンペーンのメリットとデメリットを理解して、使いこなす

エンハンストキャンペーンの概要

エンハンストキャンペーンの目的と狙い

消費者行動はここ数年で大きく変化しました。ユーザーは様々なデバイス、地域、時間帯でインターネットを利用します。エンハンストキャンペーンでは、ユーザーの意図(検索キーワード)とコンテキスト(曜日・時間帯・地域・デバイス)を踏まえた関連性の高い広告により、あらゆるデバイスにおいて適切なタイミングを捉えてユーザーにアプローチできます。
マルチスクリーン化への対応

また、Yahoo!もこれと同様の「ユニファイドキャンペーン」をリリースしています。

広告主から見たエンハンストキャンペーンの概要

エンハンストキャンペーンとはキャンペーンごとにデバイスを選択するのではなく、1つのキャンペーンで「PC」「タブレット」「スマホ」に入稿する形がデフォルトになる仕様変更のことです。

ユーザーは今までのようにデバイス別にキャンペーンを分けることができません。全てのデバイスが1つのキャンペーンとして管理され、「スマホ」の入札単価は「PC」「タブレット」を基準に“%”で設定します。「PC」と「タブレット」は同様に見なされます。リスティング広告初心者にとってはアカウントの管理がシンプルになるのでメリットに感じると思いますが、戦略的に多くのキャンペーンを使用している人間にとってはデメリットの部分もあります。

以下で、エンハンストキャンペーンの「メリット」と「デメリット」、「使いこなすポイント」について解説していきます。

エンハンストキャンペーンのデメリット

スマホ専用キャンペーンが作成できない

エンハンストキャンペーンではスマホ専用のキャンペーンは作成できません。「スマホ」の入札単価はキャンペーンや広告グループ単位で、「PC」「タブレット」を基準に“%”で設定します。「PC」と「タブレット」は同様に見なされます。

つまり、これがデメリットになる広告主とはスマホメインで広告を出稿していた広告主(ソーシャルゲームやアプリの企業とか?)になります。まず、PC基準でデフォルトの入札単価を設定して、スマホの単価をPC基準で%設定で調整するので、「PCに強制的に出稿」「スマホの入札単価が分かりづらい」という問題があります。

回避策

スマホの入札単価の%設定は「-100% ~ +300%」に設定できるので、PCの単価を極力下げることはできます。ただし、スマホの入札単価がPCに引っ張られことには変わりないので、問題がクリアになるわけではありません。

逆にPCのみのキャンペーペーンはスマホの単価調整を「-100%」に設定すれば。PCのみのキャンペーン(正確にはPC+タブレット)が作成できるので、大きなデメリットはありません。

ただし、エンハンストキャンペーンでは「Click-to-Download広告」というアプリダウンロード用の広告が作成できます。こちらはスマホ専用の広告になります。

デバイスごとの「曜日指定」「時間帯指定」「地域指定」ができない

配信スケジュールの設定については、キャンペーン単位になるので、スマホのみのスケジュールの設定はできません。PC・タブレットのみのスケジュール設定は、スマホの単価調整を「-100%」に設定して、PC・タブレットのみキャンペーンを作成することで可能です。

品質スコアの不透明性

品質スコアについて、内部ではデバイス別に計算されますが、表示上は各デバイスの平均値(検索ボリュームによる加重平均)になります。

除外キーワードをデバイスで分けられない

除外キーワードの設定はキャンペーン単位なので、デバイス毎に除外キーワードを設定することはできません。

せめて、こういう機能になって欲しかった。 → 今後の希望

上記のような理由から、エンハンストキャンペーンについては、国内外問わず、否定的な意見が多いことも事実です。しかし、著者はメリットの部分(後述)も大きいと考えており、エンハンストキャンペーンに否定的な立場ではありません。

ただし、「PC、タブレット基準のスマホ入札単価」については思うところもあります。例えば、キャンペーン単位で「PC・タブレット基準」「スマホ基準」が選択でき、基準でないデバイスについて「-100% ~ +300%」の%設定で単価が調整できれば良かったのに。。。と思っています。

エンハンストキャンペーンのメリット

マルチデバイスを意識した入札単価調整

同じ検索キーワードでも「曜日」「時間帯」「地域」「デバイス」が違えばユーザーの意図は異なります。エンハンストキャンペーンでは、コンテキスト(曜日・時間帯・地域・デバイス)に応じて、入札単価を調整できます。設定はキャンペーン単位、広告グループ単位で可能です。

入札コントロールの例
  • 曜日が○○の時は「+5%」
  • 時間帯が○○の時は「+10%」
  • 所在地が○○の時は「+20%」
  • モバイルからの検索は「+10%」
  • ⇒ 入札単価 = デフォルトの入札単価×152%(1.05×1.1×1.2×1.1)

デバイスは「PC(デスクトップとノートパソコン)」「スマートフォン」「タブレット」の3種類が選択でき、「-100% ~ +300%」で調整できます。曜日、時間帯、地域は「-90% ~ +900%」の範囲で調整できます(キャンペーン単位の設定で全く配信されないようにすることも可能)。

コンテキストに合わせた広告文

広告文にはデバイス設定で「モバイル優先」のフラグを付けることができます。これにより、モバイルで検索してきたユーザーにはPCと違った広告文を見せることができます。ただし、あくまで“優先”なので、例えば、広告グループ内の全ての広告文を「モバイル優先」にした場合、PCにも配信されます(PCへの広告配信はストップできないので)。

スマホとPC両方に配信する場合は、1つの広告グループに「PC用」と「スマホ用」の広告文を用意しておきましょう。

広告グループ単位で設定できるサイトリンク

サイトリンクは広告グループ単位で設定できます。さらに、今まで1つの集合として扱われていたサイトリンクが、リンクごとに分割され、広告グループごとに自由に組み合わせが設定できます。

また、「モバイル優先のサイトリンク」「モバイルでは非表示にするサイトリンク」「表示する時間帯」なども設定もできます。各1リンクごとにレポートを見れるのも特徴です。

その他のメリット

  • 通話コンバージョンの測定 ⇒ アメリカ、イギリス、ドイツで先行開始)
  • アプリダウンロードのコンバージョン測定 ⇒ 「Click-to-Download広告」
  • 実店舗での購入(クーポン利用のオフライン購入など)を測定 ⇒ 日本では将来的に利用可能
  • クロスデバイスコンバージョン(開始デバイスと終了デバイスが異なる場合のCV)の測定 ⇒ 日本では将来的に利用可能

エンハンストキャンペーンは、デメリットもありますが、メリットもかなり大きいです。しっかり理解して活用していきましょう。

エンハンストキャンペーンを使いこなす(移行の準備)

旧キャンペーンのモバイル実績を調べておく

エンハンストキャンペーンでは「PC・タブレット」と「スマホ(モバイル)」のキャンペーンは統合されます。スマホの入札単価はPCを基準とした%設定になるので、事前にスマホの実績を調べておき、「PCの何%の入札単価が適切なのか?」を算出しておきましょう。

入札単価はキャンペーン単位でも設定できますが、広告グループ単位で細かく設定しておく方が後々融通が利くと思います。

「曜日」「時間帯」「地域」の実績を調べておく

各コンテキスト別の入札単価調整を行うために、「曜日」「時間帯」「地域」の実績を調べておきましょう。

デバイス別の広告文の準備

PC用とスマホ用の広告文を準備しておきましょう。エンハンストキャンペーンではスマホを対象としたい広告文には「モバイル優先」のフラグを立てます。タイトルや説明文の他、リンク先URLも個別に設定できます。

サイトリンクの準備

エンハンストキャンペーンでは、サイトリンクはリンクごとに分割され、広告グループごとに自由に組み合わせられます。「モバイル優先のサイトリンク」「モバイルでは非表示にするサイトリンク」「表示する時間帯」なども考えておきましょう。

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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