YouTube動画広告(TrueView動画広告と純広告)の種類、課金方式、ターゲティング方法を解説
YouTube動画広告の種類
YouTube動画広告はTrueView(トゥルービュー)、バンパー広告、純広告の3種類
YouTubeの動画広告にはTrueView動画キャンペーンとバンパー広告と純広告キャンペーンの3種類があります。
TrueViewはGoogle AdWordsから配信できるYouTube動画広告で、動画広告を実施されている方であれば馴染みのある広告サービスかと思います。GDNと同じようなAdWordsの多彩なターゲティングメニューが利用できます。
バンパー広告はTrueViewと同じくGoogle AdWordsの動画広告キャンペーンです。比較的新しい広告フォーマットで、6秒間のノンスキッパブル広告です。
純広告キャンペーンはTrueViewやバンパーよりもプレミアムな動画広告という位置づけで、YouTubeのトップページにも出せる唯一の動画広告です。固定CPMもしくは固定1日あたりの費用で購入できる予約制広告で、スキップ不可で最大30秒の広告を配信できるなど、TrueViewにはない広告フォーマットが用意されています。純広告キャンペーンはGoogleの担当者を通じて購入できます。
今回はまず3つの動画広告の違いを説明した後、各広告キャンペーンの詳細について説明いたします。YouTube広告=TrueView動画広告と思われているかと思いますが、ちょっと違うんです。本記事を読んでいただくとスッキリするかと思います。
TrueViewはGoogle AdWordsの中の動画広告キャンペーンで、視聴課金もしくはクリック課金の動画広告です(詳細は後程)。Google AdWordsの中にはTrueView以外に、リスティング広告、GDN、UAC(ユニバーサルアプリキャンペーン)、ショッピング広告があります。
バンパー広告はTrueViewと同じくGoogle AdWordsの動画広告キャンペーンです、インプレッション課金の広告です。
純広告キャンペーンはGoogle AdWordsからは配信できません。「定額料金(CPD課金)」「YouTubeトップページへの掲載」「ノンスキッパブルによる視聴回数の確保」というメリットがあります。
Google AdWordsの中に動画広告キャンペーンがあり、その中にTrueViewとバンパーがあるということ、純広告キャンペーンはGoogle AdWordsとは別というところがポイントです。
次はYouTube動画広告に絞って図にしたいと思います。
YouTube動画広告の全体像を整理
冒頭に記載した図をYouTube動画広告に限定して、詳細に分類すると下記になります。
広告フォーマット×課金形態だと、「インストリーム広告(Google AdWords > TrueView)」「TrueView ディスカバリー広告(Google AdWords > TrueView)」「バンパー広告(Google AdWords > インプレッション課金)」「標準インストリーム(純広告 > インプレッション課金)」「インストリーム セレクト(純広告 > インプレッション課金)」「デスクトップ ビデオ マストヘッド(純広告 > 掲載日数課金)」「モバイル ビデオ マストヘッド(純広告 > 掲載日数課金)」の7種類が存在します。
TrueView動画広告の種類と特徴
TrueView動画広告の種類を整理
TrueView動画広告とは、Google AdWordsから配信できる視聴課金もしくはクリック課金のYouTube広告です。TrueView動画広告には「インストリーム広告」「TrueView ディスカバリー広告」の2種類の広告があります。
- TrueView
-
- インストリーム広告(視聴課金+クリック課金)
- TrueView ディスカバリー広告(クリック課金)
インストリーム広告の特徴
YouTube動画広告で最も利用されている動画広告キャンペーンです。YouTubeはもちろん、GoogleディスプレイネットワークのWebサイトやアプリにも動画広告を配信できます。動画の前後(プレロール/ポストロール)や途中(ミッドロール)に広告が表示されます。再生開始から5秒経過すると、スキップボタンが表示され、ユーザーは広告をスキップできるようになります。
最大の特徴は「視聴課金(CPV)+クリック課金」であることです。TrueViewでは動画が30秒以上再生された場合(30 秒未満の動画では最後まで視聴された場合)に視聴とみなされます。課金タイミングは動画視聴もしくは動画を操作(クリック)した場合のいずれか早い方のタイミングとなります。
つまり、動画がしっかり見られたか、もしくは動画に対してポジティブなアクションをとった時にはじめて課金されるのです。そのため、無駄な広告コストの発生を抑制できます。
インストリーム広告のクリッカブルエリアの変更(ちょっと懐かしい話)
さらに、クリッカブルエリアも特徴的です。2015年頃は動画全体がクリッカブルエリアになっており、ユーザーの意図しないミスクリックやミスタップが発生しやすい仕様でした。2017年現在はアップデートされ、広告主のウェブサイトのアクセスやCTAオーバーレイ、アノテーションなど明示されたエリアのみしかクリックできないようになっています。
このアップデートがあった時、「クリックが減る(=CPCが高くなる)ことで広告主から不満が出るのでは?」と心配されていた広告代理店の方がいらっしゃいました。個人的には素晴らしいアップデートだと思っていたので、「なんで???」と思っていたのですが、実際にクライアントからの不満の声はあったらしいです。
- <このアップデートが広告主にとってマイナスにならない、むしろプラスな理由>
-
- インストリーム動画広告のゴール設定にクリックは適切でない
-
- 動画コンテンツを閲覧している最中のユーザーが広告をクリックしないのは当然。クリックさせることではなく、その場で印象に残すことが大事。
- ミスクリックはない方が絶対良い
-
- 動画全体がクリッカブルエリアの場合、そこで発生するクリックは広告を消したい、もしくは誤操作によるクリックが大半(だと思う)。本当に興味を持ったユーザーのクリックしかいらない。興味がない人を無理やりサイトに連れてきても、無駄なリタゲリストができるだけ(リストが荒れる)。
動画広告、特にインストリーム広告はユーザーが動画コンテンツを視聴している最中に流れる広告というところを意識しましょう。意味のあるクリックが発生しづらい広告であるため、それに合った目的設定と効果測定をしないといけません。
効果測定については、動画広告、ブランディング広告の効果測定「ブランドリフト調査」の解説をご覧ください。
TrueView ディスカバリー広告の特徴
TrueView ディスカバリー広告は、YouTubeの検索結果、関連動画に掲載できる動画広告です。画像とテキストで構成され、広告がクリックされると広告動画が再生されます。課金ポイントは広告クリックして動画を視聴したタイミングです。
TrueView動画広告の単価設定とシミュレーション
下図の上限広告視聴単価というところに金額を設定します。ここで設定した金額よりも実際は安くなります。著者の場合はだいたい10円くらいから設定していますが、10円で設定すると6~7円くらいの着地となります。
著者が運用している広告では、インストリーム広告よりもTrueView ディスカバリー広告の方が1.5~2倍ほど単価が高くなっていました。「人気動画の入札単価調整」について、入札単価を引き上げると、YouTube とGDNの人気コンテンツに動画広告が配信される可能性が上がります。入札単価調整は0~500%で設定可能です。
右側に1日あたりと1週間あたりの消化金額、視聴回数、平均CPVのシミュレーションが表示されます。
TrueView動画広告のターゲティング
TrueViewはGoogle AdWordsの中の動画広告キャンペーンなので、GDNと同じようなターゲティングが利用できます。
ユーザー層
性別、年齢、地域を指定して配信します。他のターゲティングと掛け合わせて使用することがほとんどです。
性別 | 年齢 | 地域 |
---|---|---|
男性 | 18~24歳 | 国別 |
女性 | 25~34歳 | 都道府県別 |
不明 | 35~44歳 | 市区町村別 |
45~54歳 | ||
55~64歳 | ||
65歳以上 | ||
不明 |
興味/関心
Googleがカテゴライズした“ユーザーの興味”を指定して広告配信を行うターゲティングです。
キーワード
特定のキーワードが掲載されているWebページやキーワードに関連する動画へ広告配信するターゲティングです。
トピック
Googleがカテゴライズした“Webページや動画のテーマ”を指定するターゲティングです。特定のトピックに関連する複数のページに一度に広告を掲載します。比較的ボリュームが出やすいターゲティングです。
リマーケティング
GDNと同じく、AdWordsリマーケティングリスト、動画リマーケティングリスト、これらの類似ユーザーのリストを選択できます。
プレースメント(★おすすめ)
「YouTubeチャンネル」「YouTube動画」「ウェブサイトのURL」「モバイルアプリのカテゴリやアプリ名」をピンポイントで指定したターゲティングです。これほど詳細に面をターゲティングできる動画広告は珍しいです。自社商品に関連がある動画やアプリを事前に調査し設定しましょう。
TrueViewを実施するなら、忘れずに設定しておきたい「動画視聴リマーケティング」
Google AdWordsでは、動画視聴者を対象にリマーケティング広告を実施できます。TrueViewのインストリーム広告は特にですが、広告に興味を持ってもらっても動画コンテンツ視聴中に他のWebサイトに遷移してコンバージョンしてくれる可能性は低いです。よって、動画広告で記憶してもらった後に、後で他の広告でアプローチすることが有効です。
Google AdWordsのユーザーリストで動画広告視聴者をリスト化できるので、TrueView動画広告を設定した後は忘れずに動画視聴者リストを作成し、GDNのリマーケティング広告に活用しましょう。
バンパー広告(Google AdWordsのImp課金6秒広告)の特徴
バンパー広告は、YouTubeやGDN上の動画配信サイトやアプリで、動画コンテンツの前後、または途中で再生される最大6秒の動画広告です。スキップ不可のインプレッション課金型広告です。
バンパー広告の単価設定とシミュレーション
下図の上限インプレッション単価というところに金額をCPM(1,000回表示あたりの金額)で設定します。実際はここで設定した金額よりも安くなります。
右側に1日あたりと1週間あたりの消化金額、表示回数、平均CPMのシミュレーションが表示されます。
バンパー広告のターゲティング
TrueViewと同じターゲティングが利用できます。
純広告キャンペーンの種類と特徴
純広告キャンペーンとは、AdWordsオークション経由でない、固定CPM課金もしくは固定CPD課金(掲載日数課金)のYouTube広告です。
一定の表示回数を定額料金で確保することができるため、「TVCM出稿期間に合わせて、この期間に〇〇配信したい」といったニーズに対応できます。純広告キャンペーンには「インストリーム」2種類、「マストヘッド」2種類の計4種類の広告があります。
- YouTube 純広告キャンペーン
-
- インプレッション課金のキャンペーン「インストリーム」
-
- 標準インストリーム
- インストリーム セレクト
- 掲載日数課金のキャンペーン「マストヘッド」
-
- デスクトップ ビデオ マストヘッド
- モバイル ビデオ マストヘッド
標準インストリーム
動画コンテンツの視聴前に配信される動画広告です。TrueViewと異なり、スキップ不可のユーザーに強制的に視聴させる広告です。最大15秒と最大30秒の2種類の尺で入稿できますが、30秒の広告は10分以上の動画コンテンツのみに配信されます。
インストリーム セレクト
ユーザーが動画再生を開始する前に表示される動画広告(プレロール動画広告)で、スキップ可能です(広告の再生時間は最大60秒)。CPM課金である点がTrueViewと異なります。視聴単価は割高になりますが、固定CPMで安定的に広告在庫を確保できます。
デスクトップ ビデオ マストヘッド
YouTubeのトップページに表示される動画広告です。デフォルトは無音再生となっており、音声アイコンをクリックすると音声ONになります。1日単位で購入可能で、YouTubeのトップページに終日掲載されます。
モバイル ビデオ マストヘッド
スマートフォン、タブレットのYouTubeップページに表示される動画広告です(AndroidとiOSのモバイルアプリ、スマートフォンやタブレットのモバイルブラウザ版YouTube)。デスクトップ ビデオ マストヘッドと同様にYouTubeのトップページに終日掲載されます。
YouTube動画広告のまとめ
種類多いな・・・・
まずは視聴課金 OR クリック課金のTrueView動画広告(インストリーム広告/TrueView ディスカバリー広告)がおすすめです。
TrueViewのターゲティングのプレースメントは、「YouTubeチャンネル」「YouTube動画」「ウェブサイト」「モバイルアプリ」をピンポイントでターゲティングできるため、事前調査をしっかりしておけば強力なターゲティングになります。
バンパー広告は6秒という制約があるので、クリエイティブに自信があればチャレンジしてみても良いかもしれません。
純広告キャンペーンは在庫予約ができるというメリットがあるので、最大リーチ数を出したい時に利用するイメージです。特にYouTubeトップページに表示できるマストヘッド広告は他にないユニークな広告だと思います。
この記事の著者
広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)
マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。
1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。
2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。
株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。
2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。
2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。
著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)
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