プライベートDMPとオープンDMPの違い

投稿者:Turn

マーケターなら知っておきたい、プライベートDMPについて

アドテクノロジー分野に関心のある方、あるいはWebマーケティングに携わる方ならば、多くが「DMP」という言葉を聞いたことがあるでしょう。これは大きく「オープンDMP」と「プライベートDMP」に分かれます。

ここでは、自社が持つ巨大なデータ資産であるプライベートDMPを中心に、実際の利用イメージを踏まえ詳しく解説していきましょう。

巨大な情報プラットフォーム

まずは、よく耳にする「DMP」(Data Management Platform)について押さえておきましょう。これはデータマネジメントプラットフォーム、つまりビジネスに膨大なデータを活用するための基盤のことで、多くの場合「Web上で収集された情報」を指します。つまり、アクセスログや会員登録を基にした属性データです。

これには後述する「オープンDMP」と「プライベートDMP」が存在します。この2つをインプットして一元管理、利用できるのが一般的に言われるDMPです。尚、このデータはWeb広告やコンテンツの出し分け、分析などさまざまな分野で利用されています。

アドテク全体の中でのデータマネジメントプラットフォームの役割

それではアドテク全体の仕組みを紐解きながら、DMPがそこでどういった役割を果たすのかを見ていきましょう。

まずアドエクスチェンジという仕組みによって、異なるサイトやアドネットワーク間の無数の広告枠が束ねられ、空いた枠を交換していきます。しかしこれだけでは、広告在庫を融通していくだけです。そこで、入札額などの配信条件や広告素材を設定するDSPというツールにより、広告主の効果を最大化していきます。

一方、媒体側はSSPというツールに価格設定等を行うことで、収益の最大化を図っていきます。尚、この取引をリアルタイムで行うのがRTBであり、広告主と媒体にとって理想的な取引市場が形成されました。

そして、残るはユーザーにとってのメリットです。ここで重要な役割を果たすのが、データマネジメントプラットフォームになります。このデータ基盤からオーディエンスデータとも呼ばれる精緻な情報をDSP側に渡すことで、ユーザーに最適な広告が配信されていきます。

事例で見るDSPとの連係

それでは、DMPと広告主側の設定ツールであるDSPとの間で具体的にどんな連携が行われ、活用がされているかについて事例を交えながら見ていきましょう。

必要なこととして、まずDMPに格納した膨大なデータを分類しセグメントを作ります。例えば化粧品のECサイトの場合、セグメントに必要となるのは次のような項目です。

  • 性別
  • 年齢
  • 購入履歴
  • 過去のサイト内での行動履歴
  • このサイトへの初回訪問からの経過期間

これらの項目によって、次のようなオーディエンス像が浮かび上がったとしましょう。

「20代後半の女性で、初回訪問は半年前。購入履歴ではニキビ用美容液の購入のみだが、最近はいろいろな悩みに関する商品の閲覧も行っている」

これをDSPに送ると、条件に合うユーザーがアクセスして来た際に最適な広告を配信してくれます。例えばニキビに高い効果を発揮しながら、その他の肌トラブルにも有効なオールインワン化粧品などが考えられるでしょう。

従来から購入しているニキビ用美容液を継続して勧めるか、それとも、例のように新たなオールインワン化粧品を勧めてアップセルを狙うか。その判断は、マーケティングのシナリオ次第です。

プライベートDMPは自社の持つ情報資産

それでは、データマネジメントプラットフォームを構成する「オープンDMP」と「プライベートDMP」の違いを見ていきましょう。

オープンDMPは、さまざまなWebサイトでの行動履歴やデモグラフィック情報などが蓄積されたものを指します。第三者データとしての価値を持ち、これ自体が情報として提供される、あるいはアドエクチェンジとの連携を通して広告利用されます。広告主にとっては、新規顧客や新たな見込客を得るのに役に立つものです。

これに対してプライベートDMPは、企業が持つデータが蓄積されたものを指します。自社との取引や会員登録、サイト内での行動履歴などがこれに当たります。既存顧客への購買を促したり、LTV(顧客生涯価値)を高めたりする効果が見込めるでしょう。

プライベートDMPにはコールセンターや実店舗、営業が持つ顧客リストや対応履歴といったオフラインデータも含む場合が多く、まさに巨大な自社の情報資産と言えます。

アドテクの本格利用はまだ始まったばかりです。しかし近年は、有名化粧品メーカーの積極活用などが大きく報じられています。以前は大手メーカーにのみブランド毎の情報が散在し、上手く活用できていないという課題がありました。

しかしその解決策としてDMPを導入。例えばデータを基にAというブランドのファンに対してDという同じ系統のブランドを勧めてみるなど、施策が試みられているようです。

DMPの導入・構築・活用に関する課題

最後に、DMPを取り巻く課題についてもご紹介しておきましょう。大手企業の場合、プライベートDMPだけでも巨大な情報となります。また、ここまではプライベートDMPを事例として見ていきましたが、オープンDMPと組み合わせることでより膨大なデータとして使われていきます。

これらのデータ自体は仕組みで処理・蓄積することが可能です。しかし、さまざまな用途があるために計画が膨らんでいき、プロジェクトとしての規模が際限なく肥大化していく可能性があります。

また、なんとか導入できたとしても、肝心の活用が上手くいかないという声が少なくありません。導入には人手や時間だけでなく、多いもので数億にものぼる費用が必要になってくるでしょう。

さらに多くの場合、導入・構築まではシステム部門が中心、活用からはマーケティング部門といった形で、部署を跨いだ対応が求められます。

そのため、しっかりとしたプランニングや部署同士の連携がなければ、十分な活用は望めません。最悪の場合、導入途中で頓挫してしまうこともあります。DMPの導入にあたっては、体制作りから慎重に取り組むことが大切です。

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この記事の著者

Turn

米国シリコンバレーに本社を構える、独立系アドテクノロジー企業。

広告主の収益を最大化するDSP(デマンドサイドプラットフォーム)、「Campaign Suite」をはじめ、広告を配信するオーディエンスの全体像を知るためのDMP(データマネジメントプラットフォーム)、「Audience Suite」を世界五大陸に提供している。

2013年には日本支社を設立し、国内のDSP業界への参入を果たしている。

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