広がるスクリーン、スマートテレビの台頭から考えるWeb動画広告と動画コンテンツの5年後・・・と書きつつ最後の方で話がズレた件

スマートテレビの普及率

Web動画広告というと、PCやスマートフォン、もしくはタブレットで動画コンテンツを閲覧している際に流れる広告をイメージする方が多いかと思います。

しかし、そのイメージは今後数年で、具体的には5年以内に変わるであろうと考えています。その理由が「スマートテレビの台頭」です。今回はスマートテレビの普及が動画を活用したマーケティングにどのような影響を与えるのかを考えたいと思います。

日本での普及率は20%前後と言われているスマートテレビですが、世界市場では51%、特に中国は80%超、USも過半数を超えています。海外ではTVのデジタル化(CS化)が進んでおり、有料視聴の文化が根付いています。

そのため、VODなどの動画コンテンツを視聴するためにスマートテレビを購入するという流れが起こりやすかったのです。一方で、民放キー局の寡占状態にある日本では、「テレビはテレビ番組を見るために」が常識でした。

しかし、これが今変わろうとしています。2020年はオリンピックイヤーなので、この直前にテレビの買い替え需要が高まると予想されています。ただし、オリンピック後の値下がりを狙った買い替えも発生するはずなので、オリンピック後~2022年くらいにテレビの買い替えの山がもう1つ来るでしょう。

また、総務省の資料「放送を巡る諸課題に関する検討会(第5回)配付資料」では、2020年にはスマートテレビの出荷台数は過半数を超え、57%になる見込みとなっています。

これらから、2022年までに日本のスマートテレビの普及率は一段上がると予想しています。

デジタルネイティブが消費の中心となることで、テレビはただのスクリーンと化す

デジタルネイティブ世代に経済力がつき、消費の中心になってくるのもこの時期です。この世代を中心にスマートテレビが普及したら、テレビという大型のスクリーンで、今までと同じようにYouTubeやAbemaTVなどのコンテンツを楽しむようになるでしょう。

海外と比較してチャンネル数が少ない日本においては、スマートテレビが普及することで、テレビ局が作った番組以外の、機器にインストールされたアプリが選択される可能性が高くなります。

スマートレビのアプリ一覧

こうなってくるとWeb動画広告が視聴されるシーンが変わってきます。YouTubeやAbemaTVに今まで通り広告を出稿するだけで、広告主はPCやスマートフォンだけでなく、テレビを使ったプロモーションが可能となります。

YouTubeにおいては、30秒以上の長尺の動画を利用することも可能なため、テレビCMではできなかった深い訴求もできるでしょう。実際に長尺の動画は増えているようです。

最近は、ソニー本社オフィス移転を取り上げたブランディング動画や、スクウェア・エニックスのゲームPV、中には30分以上の動画広告(音楽PV)も見かけます。もはやここまでくると広告というよりは番組という印象ですね。

TrueView広告

動画コンテンツはどうなるか?

テレビという同じプラットフォームの中で、テレビ番組(テレビ局)と各アプリが、ユーザーに視聴してもらうために競うわけです。テレビ番組にとっては厳しい戦いになるかもしれません。

「なんとなく見る」→ YouTube、AbemaTV
「見たい番組を見る」→ Hulu、Netflix
・・・のような構図になる気がします。

小さいことかもしれませんが、“リモコン”には個人的に注目しています。今はGoogle Play、Netflixへのショートカットボタンしかありませんが、ここに「YouTube」「AbemaTV」などの無料かつコンテンツが豊富なアプリが加われば、そのアプリは多くのユーザーを獲得する可能性があります(下記の画像はSONY BRAVIAですが、他のメーカーのテレビでも見たことない)。

アプリ一覧画面は混戦しそうなので、ホームやアプリ画面起動のボタンを押さずに、1回の操作で目的のアプリを起動できることが重要でしょう。

スマートテレビのリモコン

ユーザーであることがマーケターであることの最低条件。5年後の動画広告と動画コンテンツ

動画コンテンツが表示されるスクリーンは、今後5年で変わってくるでしょう。動画広告がどのスクリーンで、どんなコンテンツと一緒に視聴され、広告を見てユーザーはどんな感情を抱くのか、マーケターである自分がまずは理解する必要があります。クリエイティブのみでなく、視聴されるシーンも合わせて広告の体験なのです。

特に気になっているのが、コンテンツへの理解です。30代以上のマーケターで、お気に入りのYouTuberがいて、定期的にそのチャンネルを見ている人がどれくらいいるでしょうか?Twitterで検索したり、LINEのタイムラインに投稿したり、今後消費の中心となる世代が当たり前にやっていることを自分はやれているでしょうか?

広告は広告だけでは成立しません。コンテンツが在ってこそ、そのコンテキストに合ってこそです。

コンテンツを知り、ユーザーを知り、広告を知る。僕は30代なので、本当キツいですが、マーケターのみなさん、がんばりましょう。これが出来ないなら、若くて優秀な人間を育てる方にシフトすべきだと思います。

(若ぶったっていいじゃない!僕だってsnow使ってますよ)
広瀬信輔(Digital Marketing Lab)

(なんか最近、メディアを広告という側面でしか語っていなかったので、自分への戒めの意味も込めて書きました。。。)

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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