アトリビューション分析の方法

アトリビューション分析がWebマーケティングの効果測定を変えた

アトリビューション分析の概要

アトリビューション分析とは、直接コンバージョン以外の間接コンバージョン(ビュースルーCVや広告クリック後 → 離脱 → 別経路からのCV)も含めて、コンバージョンへの広告の貢献度をメディアを横断して正当に評価するための分析手法です。3PASの導入によって、これが可能になります。

ここでは、効果測定における課題を3つのフェーズに分けて説明します。

アドネットワーク登場前の効果測定における課題

アドネットワークがまだ普及していなかった頃(つまりディスプレイ広告=純広)、上記のようなパスの場合、Webマーケティングの効果測定では最後に接触した広告しか評価できず、その前に接触していた広告やSEOの効果が評価されていませんでした(見えていませんでした)。コストが発生している広告の効果が見えていないことは大きな課題でした。

アドネットワーク登場前のWeb効果測定

アドネットワーク登場後の効果測定における課題

アドネットワークが登場したことで、ビュースルーコンバージョンが計測できるようになりました。しかし、メディア間の重複が考慮されていないので、重複コンバージョンとして各メディアのレポートにカウントされます。

インターネット広告のコンバージョン計測にはブラウザのCookieが利用されことが一般的です。この例では、ディスプレイ広告を表示したタイミングでアドネットワークのCookieがセットされます。その後、リスティング広告をクリックしたタイミングでリスティング広告のCookieがセットされます。

コンバージョンページには、「ディスプレイ広告」「リスティング広告」それぞれのコンバージョン計測用のタグが設置してあるため、上記の各広告のCookieを持ったままコンバージョンすると、各メディアのレポートではコンバージョンが1件とカウントされます(合計2件)。ですが、実際のコンバージョンは1件です。

これが、重複コンバージョンが発生する原因です。

アドネットワーク登場後のWeb効果測定

3PAS登場後のWeb効果測定(アトリビューション分析)

3PASを介して広告配信することで、Webマーケティング施策全体を分析できます(ただし3PASに対応している広告であることが必要)。

ディスプレイ広告には3PASのタグ(3PASに保存しているクリエイティブを呼び出すためのタグ)を入稿します(メディアの広告枠が3PASでの入稿に対応していれば純広でも可能)。

広告が表示された際に、3PASからクリエイティブを呼び出すので、この情報を3PAS側に蓄積することできます。そのため、複数のDSPを運用している場合でも、3PASという1つのシステムが効果測定を行うことから、重複しているコンバージョンも可視化できます。

リスティング広告の場合は、3PASから広告を配信するわけではないですが、データを取り込めるため、全てのメディアの成果を横串で見れます。

3PAS登場後のWeb効果測定(アトリビューション分析)

アトリビューション分析のモデル例

アトリビューション分析の種類

3PASによって、広告主は1つのコンバージョンに複数の施策が関与していることが見えるようになりましたが(メディア間の重複コンバージョンの可視化)、それぞれをどう評価していいかはまだ分かりません。

これを明らかにするための分析手法がアトリビューション分析です。

アトリビューション分析には、オンライン施策のみの貢献度を算出する「オンラインアトリビューション分析」と、TVCMなどのオフライン施策も含めて分析を行う「統合アトリビューション分析」の2種類があります。

また、上記とは別の切り口で、下記の分析モデルが存在します。

アトリビューション分析モデルの例
  • 成果配分モデル
  • ベイジアンネットワークモデル(数理モデル)
  • マルコフ連鎖モデル(数理モデル)
  • ボルツマンウェイトモデル(統計物理モデル)

アトリビューション分析モデルを使い分ける

ここでは、アトリビューション分析初心者でも使いやすい成果配分モデルの中でも、Google Analyticsの「アトリビューション モデリングの例」を紹介したいと思います。

成果配分モデルは、タッチポイントを「最初」「中間」「最後」などに分類して、「どのタッチポイントを評価するか」という点にフォーカスした分析モデルになります。

Last Interaction model(終点モデル)
最後のタッチポイントだけをCVの要因とするモデルです。
アドネットワーク登場前の評価方法と同じです。使用するシーンは、例えば、販売サイクルが超短期間(期間が限定されたキャンペーンなど)の場合に適しています。これまで一般的に使用されてきた手法なので、他のアトリビューション分析との比較にも使えます。
First Interaction model(起点モデル)
最初のタッチポイントだけをCVの要因とするモデルです。
初期のブランド認知を目的に広告やキャンペーンを掲載している場合に使用します。ブランド名が世間に浸透していない場合など、顧客に初めてブランドをアピールするキーワード(SEO)や広告媒体が重要になります。
Linear model(線形モデル)
全てのタッチポイントを均等に評価してCVの要因とするモデルです。
最も使いやすいアトリビューション分析のモデルです。アトリビューション分析をこれから始める方に向いています。著者もよく使用するモデルです。
Position Based model(接点ベースモデル)
最初・途中・最後のタッチポイントの重要度を変えてCVの要因とするモデルです。
評価が高いタッチポイントは「最初」と「最後」。つまり、「ブランド認知させた媒体」と「CVを刈り取った(意思決定させた)媒体」をより高く評価します。著者もよく使用するモデルです。
Time decay model(減衰モデル)
CVに近いタッチポイントをより高く評価するモデルです。
販売サイクルが短期間の場合に使用します。「First Interaction model」にアトリビューションらしい見方を取り入れたもので、こちらも期間限定のキャンペーンなどに利用できそうです。

アトリビューション分析の5つのモデル

成果配分モデルは、ロジックが非常にシンプルで、数学や統計学に詳しくなくても使いやすいことが特長です。ただし、分析者の判断によって各メディアのスコアが変動します。特に広告インプレッションに対しての評価方法は、明確に決めておかなくてはいけないでしょう。

例えば、全てのタッチポイントを評価する場合、1件のCVに関与した広告ビュー(ディスプレイ広告)が9、クリック(リスティング広告)が1あったとして、1回の広告クリックと1回の広告ビューの価値を同じにしてしまうと、リスティング広告のスコアは1/10になってしまいます。

広告ビューは実際にユーザーが“広告を見た回数”ではなく、“ただ画像がロードされた数”なので、1回のクリックよりも貢献度は低いはずです。

そのため、このような場合は「CVユーザーの広告ビューにはどれくらいの価値があるか」を推測し、スコアを補正する必要があります。

このように、成果配分モデルはスコアを操作しやすいという課題があります。そのため、複数モデルでのアトリビューションスコアを算出し、それをもとにアロケーションを組み、「どのモデルをベースとしたアロケーションが改善に繋がったか」という結果を分析にフィードバックして、ロジックの精度を上げていくことが重要なモデルです。

PDCAサイクルの速いWebプロモーションでは、分析ロジックの正確性よりも、「いかにフィードバックを速くできるか」ということが重視されるケースも少なくないため、このようなシンプルなモデルの方が適している場合も多々あります。

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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