アドネットワークの仕組みと特徴
アドネットワークの概要とアドネットワークがなかった時代の広告掲載
アドネットワークの概要
2008年頃から出てきた、広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、多数のWebサイト上で広告を配信する広告配信手法です。多くのWebサイトを媒体とすることで、全体では多くのトラフィック量を確保することが可能で、広告主にとって大きなメリットがあります。
媒体側から見ても、アドネットワーク事業者に受注、掲載の手続き等を任せることができるので、両者にとって大きなメリットがあります。
アドネットワークがなかった時代の広告掲載
アドネットワークが登場するまでは、広告主が各媒体に広告掲載をお願いする必要がありました。そして、広告掲載について以下のような問題を抱えていました。
- 広告主が抱える課題
-
- 1つ1つのWebサイトに広告掲載をお願いしないといけない
- 良い広告媒体(Webサイト)を自分で探さないといけない
- 課金形態がバラバラで、媒体の選定が難しい
- 媒体から提供されるデータもそれぞれ違い、媒体間の比較が難しい
- 媒体から提供されるデータの信憑性
メディア側も広告主からクリエイティブを受け取ると、Webページにベタ貼りするような運用が多かったので、それなりの工数がかかっていました。自社でアドサーバーを保有する大手のメディアは、広告在庫の管理が柔軟に行えますが、それでも、「広告枠を販売するための営業コスト」や「在庫リスク」の課題がありました。
関連用語:広告インベントリ(広告在庫)
アドネットワークの仕組みと特徴
アドネットワークが広告配信を変えた
アドネットワークという「広告配信ネットワーク」に入札という形態で広告配信することで、広告主は多数のWebサイトに一括で広告を配信することが可能になりました。ただ、いいことばかりだけでなく、ブランディングとしてマイナスなサイトに掲載されたり、自社のターゲットとは全く関係のないサイトにも掲載される可能性もあり、特定のサイトに広告を掲載しないようにする仕組みも取り入れらました。
ただ、媒体の情報を広告主に全て開示することは難しく、特に大手企業にとってはまだまだ掲載に踏み切れない理由が多かったことも事実です。
アドネットワークの仕組み
- 広告主にとってのメリット
-
- アドネットワークに入札するだけで、ネットワーク加盟サイトに広告配信できる
- インプレッション、クリック、CTR、CV、CVRなど効果測定データを入手できる
- 効果測定データは第三者(アドネットワーク事業者)が集計したものなので信憑性がある
- ネットワークに配信することで、大規模な広告配信が可能
- 課金形態が統一(クリック課金型、インプレッション課金型)
- サイトのジャンルを絞ることで広告とある程度関連性のあるサイトに配信できる
- リターゲティング配信、時間指定配信など、効果を上げるためのメニューがある
- Webサイト(媒体)にとってのメリット
-
- ネットワークに加盟することで中小サイトでも顧客を得ることができる
- タグを自サイトに貼り付けるだけなので、販売の手間がかからない
- クリック数などは全てアドネットワーク事業者(アドサーバー)が計測する
- 1つの広告枠に対して複数の広告が掲載できる → 売れ残りの可能性が低くなる
行動ターゲティング広告(BTA)
ターゲティング配信とノンターゲティング配信
配信先を指定せず全媒体へ配信する「ノンターゲティング配信」と広告主やアドネットワークの保有情報に基づき配信する「ターゲティング配信」があります。
ターゲティング配信の中でも「広告主の保有情報」を使ったターゲティングと「アドネットワークの保有情報」を使ったターゲティングの2種類のターゲティングがあります。
アドネットワークとリターゲティング
アドネットワークを使った広告では、多種多様なジャンルの広告や広告媒体が混在しているため、広告配信効果を最適化する技術として、Cookieのデータをもとにユーザーの傾向を分析する行動ターゲティング広告(BTA)が導入されているケースがほとんどです。
その中でも、最も有名なターゲティングが「リターゲティング」です。これは、1度自社のWebサイトに訪問したユーザーに対して広告を配信する仕組みで、BtoB、BtoC企業に関係なく、現在でも多くの企業で利用されています。
1度Webサイトに訪問したユーザーは、何かしらの経路でそのサイトに興味を持ったユーザーです。このユーザーに対して広告を配信するということは、興味関心レベルの高いユーザーにアプローチしていることになるため、有効なターゲティング手法だと言えます。
このターゲティング技術の進化が、アドネットワークの導入を強力に後押ししました。
リターゲティングの有効な使い方
サイトに設置するリターゲティング用のタグを複数に分けることで、下記のようにリターゲティングを有効に活用することができます。
- リターゲティングの有効な使い方例
-
- 登録や申し込みなどのフォームで離脱したユーザーは確度が高いので、広告配信量を増加
- 特定の商品ページに訪問したユーザーに、その商品に合ったクリエイティブを表示する
- 1度CVしたユーザーを配信対象から外す → CVユーザーのUUを増やす
- リターゲティング対象期間の変更 → 広告に反応しないユーザーは配信対象から除外
アドネットワークの一例
国内アドネットワークの一部を紹介します。
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)/ヤフー株式会社
- Yahoo! Japanの他、大手掲載パートナーサイトへも広告が配信。
- Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)/グーグル株式会社
- 200 万以上のウェブサイトと 65 万種類以上のアプリに掲載。
- Googleディスプレイネットワーク(GDN)
- nend/株式会社ファンコミュニケーションズ
- 日本最大級のiPhone・Android対応のスマートフォン向け運用型アドネットワーク。
- nend
- AkaNe byGMO/GMOアドパートナーズ株式会社
- ネイティブアドに特化したスマートフォン向け運用型アドネットワーク。
- AkaNe byGMO
- 楽天アドネットワーク/楽天株式会社
- 楽天グループ中心の良質な掲載先に一括配信が行える。
- 楽天アドネットワーク
この記事の著者
広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)
マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。
1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。
2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。
株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。
2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。
2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。
著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)
DML監修『買い切り3万円のGA4アクセス解析レポート』
【買い切り3万円】DeeBoard(ディーボード)
Googleアナリティクスのログインすら面倒に感じる方へ。「誰でも普通に使える」GA4アクセス解析レポート。
GA4アクセス解析レポート『DeeBoard(ディーボード)』
【買い切り3万円】DeeBoard for EC
通販サイト専用。商品別、性別、年齢別、デバイス別、曜日別、地域別の売上分析や、カゴ落ち率も分かる!
ECサイト GA4アクセス解析レポート『DeeBoard for EC』
Sponsors
Digital marketing makes
you a sexy marketer.