Webマーケティングの目標設定

「CV1件にかけられるコスト」答えられますか?

特にBtoBの企業やEC以外のサイトを取り扱う企業、つまりWebの目標であるCVと、事業の目標である売上・利益の創出との間に何らかのアクションが挟む場合、Webの目標設定が難しくなります。

そういった場合でも、Webの目標は必ず根拠を持って設定する必要があります。

「広告費が創出した売上よりも上回っていたら、意味がないですよね?」

ここではCVと売上を紐づけて、最終的にCV1件にかけてもいいコスト(上限CPA)を求めます。これがWeb施策のポートフォリオを組む上で重要な指標となります。

購買1件を生むのにCVは何件必要か?

ここでは、CV発生から利益までの一連の流れを購買1件あたりに換算し、購買1件を生むのにどのくらいのCVが必要なのかを算出しています。

この例では、購買1件を獲得するにあたり2件のCVが必要となり、利益単価が1.6万円となっています。ポイントは(アクション)のところです。これはCVから売上発生までに起こる営業活動などのアクションをイメージしています。つまり、CVが「購入」ではなく「資料請求」や「見積依頼」などのことを想定しています。

このパーセンテージを時系列で見た時に落ちているようであれば、問題はむしろWebではなくCV後のフォローなどにあると思った方がいいかもしれません。この%のことを、ここでは「案件化率」と呼ぶことにしましょう。

購買1件あたりの必要CV

CV1件にいくらの価値があるのか?

先ほどの例をCVの件数で割ってCV1件あたりの期待値を求めてみましょう。そうすると、CV1件から生まれる売上期待値は1万円、利益期待値は0.8万円となります。

この利益期待値の0.8万円がWeb施策全体の上限CPAとなります。これを上回らずに獲得したCVは利益を生んでくれることになりますので、これをCPAの上限としてWeb施策のポートフォリオを組めば、利益としてマイナスにはならないでしょう。

堅く見るのであれば、さらにここから残しておきたい利益率を差し引いて「目標CPA」とすることもできますし、逆に緩く見るパターンとしては、リピート率が高い商材や、ライフタイムバリューが高い商材があげられます。

これらはここで求めた利益期待値よりもCVが持つ潜在価値が高いことになりますので、上限CPAを引き上げて目標CPAとすることもできます。

CV1件あたりの価値

このようにWebの各施策に取り組む前に、全体の目標CPAを可視化しておくと、どこにどれくらいの予算を投下すればいいのか判断しやすくなります。

注意するところは、ここで求めたCPAはあくまでWeb全体での基準です。各施策の上限ではありません。施策によっては「CPAが高いが件数がとれるもの」「CPAが低いがあまり件数がとれないもの」など色々な特徴があると思います。

ここで求めたCPAを下回るよう、かつCVの件数が最大になるメディアの組み合わせ、アロケーションを見つけることが、Web施策のポートフォリオを組むということです。

また、CVの期待値は変化します。獲得するCVの質もそうですが、上図の通り(アクション)の部分が影響する場合もあります。そのような場合は、Webから離れ「現場がどういうフローで売上に繋げているのか」も見れればいいですね。ここは広告予算がかかっていない部分だと思いますので、CV期待値のアップ(ROIの改善)に有効です。

【補足】1番難しいのはコストの算出

上限CPAを求めるまでの流れは上記で終わりですが、その中でCV1件あたりのコストを求めています。

このコストというのは、Web施策にかかったコストではなく“それ以外にかかったコスト”のことを指します。つまり、Web施策にかかった費用を除いたコストです。

※Web施策費の上限(上限CPA)を求めるための計算なので、それ以外のコストで計算します。

そうすることで、最終的にWeb施策にかけられるコスト(CPA)の上限が算出できます。

コストには「原価(変動費+固定費)」と「販管」がありますが、上の例は営業利益で計算するため全てのコストを計算に含める想定です。ただし、「固定費」「販管」についてはCV1件あたりに換算することが難しい場合もあると思いますので、その場合は粗利までで計算するか、売上に占める各コストの比率を係数にするなどして対応してください。

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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