アドネットワーク導入経過報告 ~BtoBにおけるアドネットワークの活用~

アドネットワーク導入経過報告

はじめに

2010年9月に著者は、所属する株式会社マクロミルにおいてアドネットワークを導入しました。当時はBtoB企業で導入している事例も少なかったのですが、2012年現在ではリスティング広告を超える成果を出しています。

これはアドネットワークの導入から現在までの経過を追ったものです。また、運用の中でアドネットワークの活用方法やポジションが分かってきたので、そのことについても記載いたします。

広告導入後のアクセス解析結果

2010年9月のRMX広告出稿以降、サイト全体のコンバージョン獲得数、ページビュー数、ユニークユーザー数が増加しました。2011年5月からRMXに加え、Google Remarketingへ出稿。2011年6月から再流入による自然検索数のアップ、ユーザーが再検索する際の検索クエリの誘導を狙い、クリエイティブを変更し、画像内に「検索ボックス」と「SEOキーワード」を表示しました。

広告開始前と開始後の実績比較(月平均) 広告開始前と開始後の実績比較(最新データ)

コンバージョン数推移 ページビュー数推移 ユニークユーザー数推移

広告クリック以外の増加流入数

アドネットワーク広告出稿以降、サイト全体のコンバージョンが大幅に増加しました。しかし、それ以上に興味を惹いたのはアクセス数の増加率です。当然ですが、広告を出稿すると出稿した予算分はアクセス数(クリック)が増加しますが、アクセス解析をしてみると、広告クリック以外でのアクセスが多数あることに気付きました。

マクロミルではSEOやコンテンツの改善なども行っていますので、これが全てアドネットワーク広告の間接効果流入とは考えていませんが、それを加味してもアドネットワーク広告からの間接効果流入はかなりの数があったのだと思います。

告クリック以外の増加流入数

BtoB企業におけるアドネットワークの位置づけと戦略

コンバージョンに至るまでのユーザーのマインドフロー

ディスプレイ広告(アドネットワーク広告)は、ニーズが顕在化した状態で検索してくる検索連動広告とは位置づけが明確に異なるものと考えています。ディスプレイ広告の役割は、潜在的なニーズを掘り起こし、自社のことやサービスを認知してもらう手段として位置づけています。まず認知してもらわないことには手の打ちようがありませんので。

またBTA(行動ターゲディング広告)により、ただ単に認知させるだけでなく、その「認知」を従来の広告よりも効率よく「興味」や「行動」へとステップアップさせてくれるものだと思っています(e.g.リターゲティング広告)。

Webにおいて、コンバージョンに至るまでのユーザーのマインドフローを広告施策と合わせて考えてみます。

マインドフロー

広告の役割とマインドフローの整理

純広告などの従来の広告では、マインドフローの前半部分が手薄でした。「行動」以降の広告施策、特に2002年の検索連動型広告の登場以降、この広告が非常に優秀だったために、そちらにばかり注目がいっていたんだと思います。ただし、どんなにこの広告が優秀でもユーザーボリュームは限られています。ユーザーがインターネット上で過ごす時間のうち、SERPに接触している時間は約4%に過ぎず、それ以外の時間はページ内のコンテンツを閲覧しています。

残りの96%に対して広告施策を打つのは当然のことだと思っています。ユーザーボリューム的にもそうですし、この層に対して“的確に”リーチすることで、後半部分の転換率の高い広告のターゲットを広げることにも繋がります。その有効な手段としてアドネットワーク広告を取り入れています。

アドネットワーク広告の真価はアドサーバー×行動ターゲティングにより、無闇やたらに広告を打つのでなく、適切なユーザーに広告を届けやすくなったことにあると思います。従来のバナー広告やコンテンツ連動型広告などの広告配信の仕組みでは、広告の内容は広告媒体であるWebサイトのコンテンツに合わせて選択されていました。

これに対して、行動ターゲティング広告ではCookie情報を元に、広告媒体のコンテンツではなく、個々のユーザーに合わせた広告を配信できるというメリットがあり、それを最大限に生かすのがアドサーバーというプラットフォームです。

アドネットワークの課題

アドネットワーク最大の課題はターゲティングにあると思っています。ユーザーボリュームが膨大な層へ広告を配信するということは、それだけターゲティングの精度を高める必要があると感じます。

行動ターゲティングは進化し、データソースを複雑に絡めたオーディエンスターゲティングなどのターゲティング手法なども出てきてはいますが、まだまだ質の面で課題があると感じています。

「どれだけ“的確に”リーチできるか」この部分はイチ広告担当者でしかない僕ではなかなか改善できない点なので、高いアドテクノロジーを持ち、かつリテラシーの高い代理店と協力して課題に取り組んでいければと思います。

アドネットワークの効果的な使い方

SEOを意識することで、ディスプレイ広告の効果をさらに高める

ディスプレイ広告はテキスト広告と違い表現の自由度が高いので、例えばSEO対策しているキーワードをディスプレイ広告の検索ボックスの画像などに記載(検索ボックスにはSEO対策キーワードを記載)することで、再検索の際のユーザーの検索クエリをある程度誘導できるのではないかと考えています。

また、テキストよりも画像の方がユーザーの印象に残りやすいと思うので、ディスプレイ広告はこういった「認知させて再流入させる」ことが得意な広告でないでしょうか。

通常、広告からの流入(広告クリック)はSEOでは評価されません。ただし、再検索による流入はオーガニック検索の流入なので、多少なりともSEOで良い効果(SEO対策キーワードでのクリック率の上昇により)があると期待しています。

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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