広告接触からCVまでのリードタイム
アドエクスチェンジの広告配信量と「UU」「CV」の関係
アドエクスチェンジとサイトのUUから見れること
上のグラフはアドエクスチェンジの広告配信量の推移(棒グラフ)と株式会社マクロミルのWebサイトのCV数とUU数の推移(折れ線グラフ)を追ったものです。
ここから分かることは、まず広告配信量を増加した月はサイトへの訪問者数が増えているということです。一見当たり前のように思えますが実はそうではありません。
このWebサイトの場合、広告クリックで直接増えるUU数は多くてもサイト全体のUU数の8%程度です。
例えば8月から9月のUU数は約1.8倍に増えています。これを全てアドエクスチェンジで配信した広告クリックと仮定するなら、実際の配信量の5倍以上が必要になります。これは極端な例ですが、他の配信量を増やした月も同様に、配信した広告以上にサイト流入が発生しています。
つまり、「アドエクスチェンジで配信した広告をビュースルーしたユーザーが、サーチなどの他の手段によってサイト流入している」と考えています。
アトリビューションという考え方の必要性が増してきていると感じました。
コンバージョンまでのリードタイム
本題のリードタイムについてですが、グラフの緑の○のところを見てください。この月は前月、前々月よりもCVが伸びています。これは先ほどのアドエクスチェンジの配信量を増やした月のちょうど2ヵ月後にあたります。
これを広告接触からCVに至るまでのリードタイムだと考えています。
もちろん商材によっても変化すると思います。BtoBで単価も高い商材でしたらリードタイムは長くなりますし、逆にWebで即決できる単価の低い商材や緊急性を要する商材のリードタイムは短くなるでしょう。この場合は週単位など分析の単位をより細かくしないと傾向が見えないかもしれません。
広告クリエイティブの効果時間
クリエイティブの効果時間はターゲティング方法によって変わる
これは、ある月にCVしたユーザーがCVする前にどういう広告に接触してきたかというアトリビューション分析の結果を抜粋したものです。NTはノンターゲティング配信、ATはオーディエンス配信、RTはリターゲティング配信による広告接触量です。
「RT」について見てみると、さすがに1度サイト訪問した確度の高いユーザーだけあって、CV月の4ヵ月前でも全体のCVの5%以上が広告に接触しています。今回注目するところはここではなく、「NT」と「AT」のところで、CV月の2ヵ月前までは広告に接触していますが、3ヵ月以前はありません。
つまり、このクリエイティブの効果時間は最大3ヵ月間ということになります。
リードタイムを広告配信に活かす
CVのタイミングとクリエイティブの効果時間を考えたシナリオ設計
今2つの視点でCVまでのリードタイムを見てきたわけですが、このリードタイムが広告配信に活かせます。
- アドエクスチェンジ(NT)の配信を増やした2ヵ月後のCVが増加している
- NTとATにおいて、CV月の3ヵ月以前の配信はCVに繋がっていない
「コンバージョンを獲得したい月に標準を合わせ、その月の2ヵ月前にはリーチを稼ぐノンターゲティング広告を配信して多くのユーザーに広告を接触させる」 → 「ノンターゲティングによって配信対象が増えた後、リターゲティングで追いかけてコンバージョンさせる」といったシナリオができるわけです。
従来の広告だと直接CVが全てだったので、「CVが欲しい時期は予算投下額を増やす」だけでほぼ良かったのですが、アドエクスチェンジなどの広告を運用するのであれば、今回のような配信メニューやクリエイティブなどによっても特徴や有効な使い方が異なってくるので、このように広告接触~CVまでのシナリオを考える必要があります。
この記事の著者
広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)
マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。
1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。
2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。
株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。
2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。
著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)
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