リスティング広告の広告グループ再設計
品質を高める広告グループの設計(続き)
前回までの復習
『品質を高めるための広告グループ設計』の続きになります。前回までの内容は、「キーワードグループ」ごとに広告グループにまとめたことで、1つの広告グループが同じ意味のキーワードを持つことになり、広告グループに紐づく“広告文”が作成しやすくなりました。
そして、『広告文の作成』でも説明しているように、広告グループ内の共通キーワードを広告文に含ませることで、クリック率のアップ、広告スコアのアップを意識したアカウントを作ってきました。
前回までの内容を思い出したところで、「最後の仕上げ」を行っていきましょう。これができれば、あとは定期的にデータを見直して、同じ作業を行うだけです。
各キーワードを“実際の効果”から広告グループに割り振る
『品質を高めるための広告グループ設計』では、アカウント設計の段階だったので、適当にキーワードを“プラス”と“マイナス”に割り振っていました。ここでは、実際の効果に応じて、「良いキーワードをプラスへ」「悪いキーワードをマイナスへ」広告グループを移動させます。
そうすることで、「良いキーワードが集められた広告グループ(プラス)」は、品質が改善され、広告スコアがアップするので、入札に有利になります。
逆に、「悪いキーワードが集められたグループ(マイナス)」は、品質が悪化する可能性がありますが、キャンペーンの予算や入札単価を下げたり、不要なキーワードを除外設定するなどして、小さく運用していきます。
マイナスのグループも改善できる可能性があるので、見切りをつけずに運用を続けます。それでも効果が悪い場合は、キーワード ➝ 広告グループ ➝ キャンペーンの順番で停止や削除を検討します。
「良いキーワード」「悪いキーワード」を選ぶ基準
特に決まった基準はありませんが、著者は下記のような基準を設けて定期的に広告グループの入れ替えを行っています。
- 以下のいずれかに当てはまる場合は「+」それ以外は「-」に。「基準値」は全体のバランスを見ながら手動で設定。
-
- CTRが「基準値」以上、かつIMPが基準値以上
-
- 十分に検索がされていて、かつクリックされているキーワード
- CVが「基準値」以上
- CVが発生している重要なキーワード
- 品質スコア/品質インデックスが「基準値」以上
- 広告グループの平均品質スコアを上げるために
【サンプル提供】広告グループ入れ替えフォーマット
広告グループを入れ替える時に実際に著者が使用しているフォーマットです。Excelで作っただけの簡単なものですが、良ければ参考にしてください。
下の画像のように、広告グループを入れ替えた結果、広告グループ全体がどう変化したか分かるように、『サマリ』のシートを作っています。適宜カスタマイズして使ってみてください。
- 【使い方】
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- 『Google』『Yahoo!』のシートに管理画面からダウンロードしたレポートを貼り付けます。
- 「+」「-」の基準は『Settig』シートで条件を指定します。
- 【資料】Digital Marketig Labの『広告グループ入れ替えフォーマット』
- 広告グループ入れ替えフォーマット
余計なキーワードは「停止」ではなく「削除」した方がいい! でも実際は悩ましいところ
キーワードの品質はアカウント全体の品質にも影響を与える
ここまで紹介してきた運用方法では、「良いキーワードは広告グループ全体の品質を高めるために」「悪いキーワードは良いキーワードの広告グループに影響を与えないために」キーワードの広告グループを適宜入れ替える方法を説明してきました。
しかし、キーワードの品質というのはアカウント全体の品質にも影響を与えます。
そこで気になるのが、インプレッションが全くないキーワードなどの扱いです。ロングテールキーワードを狙う場合、特にこういうキーワードが増えますが、半年に1回CVがあるかないかのキーワードも、クリックがない限りは課金されないので、マイナスの広告グループに入れて、小さく運用(場合によっては停止)するなどしてキーワードの存続自体は継続しておきたいところです。
停止していたとしても、アカウントに残ってさえいれば、いつかそのキーワードを使うことになった時に、すぐに運用が開始できるなどのメリットがあります。
ただし、これら効果の低いキーワードについて、GoogleとYahoo!で扱いが異なります。それぞれの特徴を見ておきましょう。
Google AdWordsのインプレッッションなしキーワードの扱いについて
- AdWords ヘルプより抜粋
-
- “検索ボリュームが少ない” と表示されているキーワードが存在したとしても、アカウント全体の品質スコアに悪影響を与えることはありません。(アカウント全体に影響を与えるクリック率は、検索ネットワークで実際に表示された広告に限っての話で、広告が表示されなかった場合や、自動的に停止されたもの、一時停止・削除された時のクリック率 0% は、影響しないということです。)
ありがたいですね。ロングテールキーワードの対策がとりやすくなります。ただし、広告グループはしっかりと分けておきましょう。クリックがあった場合は、品質評価対象になるので、他の良いキーワードのグループに影響を与えないためです。
Yahoo!リスティング広告 スポンサードサーチのインプレッッションなしキーワードの扱いについて
- Yahoo!リスティング広告 お客様サポートセンター
-
- スポンサードサーチ Ver.3では品質を評価する際、アカウント全体の評価も加味するため、アカウント内にパフォーマンスの低い(インプレッションに繋がりにくい)キーワードの存在が品質の低下につながる可能性がございます。つきましては、キャンペーンまたは広告グループ内にインプレッションが発生していないキーワードがある場合には、恐れ入りますが削除いただくことをお勧めいたします。
↑は、『kots blog』さんの「まったく表示されないキーワードはアカウントの品質へ影響するかどうか」から引用させてもらいました。
困りました。スポンサードサーチがAdWords化してきているので、その流れでVer.3ではここもGoogleと同じになると思っていたいのですが、どうやらそうではないみたいです。。。
やはり効果が悪いキーワードは削除する方が良い。ただし、中期的な視点を持ちましょう。
「Yahoo!の品質評価方法」により、やはり不要なキーワードは削除した方がいいでしょう。ただし、中期的な視点を持って、例えば「半年間インプレッションがなかったキーワード」などを削除するようにしましょう。停止ではダメ。
品質スコア/品質インデックスが下がる要因と対策
検索クエリと広告文がマッチしていない
広告文にキーワードを含め、キーワードと広告文の関連性を強めましょう。検索ユーザーのためにも良いことです。
クリック率が極端に低い
まず、品質スコア・品質インデックスが影響するのは検索クエリと登録したキーワードがマッチした場合のみです。部分一致の拡張などによる品質への影響はありませんのでご安心を。
クリック率を上げるためには、可能な限り広告文の前方に検索クエリのキーワードを入れましょう。
広告グループの品質が低い
広告グループ内の余計なキーワードは、別の広告グループに移動させたり、削除しましょう。また、広告グループ内の「キーワード」と「広告文」が合っているかも確認しましょう。
リンク先ページに適正なコンテンツが存在しない
検索キーワード、広告文に沿ったコンテンツがサイト中にロボットが読み込みやすい形で配置してあるかを確認しましょう。
特にYahoo!はVer.3以降、「キーワード」と「リンク先サイト」の関連性の重要度を引き上げています。未だにほとんど画像のみで作成してあるLPも多いので、ぜひご確認を。
広告グループにキーワードを詰め込み過ぎている
広告グループを細かく分けて広告グループ単体の関連性を強めましょう。
この記事の著者
広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)
マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。
1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。
2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。
株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。
2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。
2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。
著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)
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