自動入札ツールによる最適化の限界

自動入札ツールの概要

自動入札ツールとは

自動入札ツールとは独自のアルゴリズムによって、リスティング広告の“入札管理”を自動で行ってくれるツールのことで、「ポートフォリオ型」「ルールベース型」に分類されます。リスティング広告の運用コストの削減と、キーワード入札単価を自動で調整して、費用対効果のアップに効果を発揮します。

「ポートフォリオ型」の自動入札ツール

「ポートフォリオ型」の自動入札ツールは、独自のアルゴリズムによりポートフォリオを組み、設定したアカウントの目標CPAを達成するために、個々のキーワードの入札額の調整を自動で行います。

個々のキーワード、広告グループ、キャンペーンは設定した目標とかなり乖離が出ることもありますが、予算のバランスを調整し、アカウントの目標を達成できるような入札の動きをします。運用者は全体の目標を決めればいいだけなので、大幅な工数削減が実現できることがメリットです。

「ルールベース型」の自動入札ツール

ポートフォリオ型とは異なり、ルールに基づき個別に最適化を行うものです。例えば、CPAが一定の水準を下回っている時は、特定のキーワードで入札単価を10円上げるなど。時間やキャンペーンや広告グループ別に個別に設定できたりもするので、小回りが利きます。

ただし、作業量は多くなるので、自動化ツールと言うよりは、自動入札ツールと言うよりは、“入札サポートツール”のような表現の方が合う気がします。

自動入札ツールによる最適化の限界

テキスト広告ゆえに。。。

リスティング広告の落札額決定には様々な要素が絡んできます。具体的に言うと、最終的な落札額は「入札単価」だけではなく「入札単価」×「品質」=“広告ランク”によって決まります。

そして、「リンク先ページとキーワードの関連性」「キーワードと広告テキストとの関連性」などが品質に影響します。

つまり、「入札単価の調整だけでは最適化できない」ということです。ここがリスティング広告の優れている点でもあり、同時に運用の複雑さの要因とも言えます。自動入札ツールがあったとしても、運用者にはかなりのリテラシーと作業量が求められます。

自動入札ツールで「アカウント構成」は変えられない!

自動入札ツールはあくまで“入札管理”を自動で行ってくれるツールです。アカウント構成を最適化してくれる機能はありません。

「広告グループの再設計」や「除外キーワードの設定」、「キーワードの停止」などは手動で行う必要があります。

リスティング広告を上手に運用していくためには、構造化されたアカウント設計が非常に重要です。

自動入札ツールを使用する場合は、この点を必ず理解し、定期的なアカウント構成のメンテナンスを行いましょう。アカウント設計については『広告グループの設計』以降のコンテンツを読んでいただければと思います。

復習しておこう「品質に影響を与える要素」
  • キーワードと広告のクリック率(過去の実績も含む)
  • 同一広告グループ内のキーワードと広告のクリック率(過去の実績も含む)
  • アカウント内全てのキーワードと広告のクリック率(過去の実績も含む)
  • リンク先ページ(ランディングページ)の品質
  • リンク先ページ(ランディングページ)とキーワードの関連性
  • キーワードと広告グループ内の広告との関連性
  • キーワードおよび表示される広告と検索クエリとの関連性
  • 広告が表示される地域でのアカウントの掲載結果
  • その他の関連性に関する要素
  • 同一キーワードなどで広告を出稿している他社の広告との相対比較

リアルタイムな単価調整には対応できない

これらの自動入札ツールはアカウントの実績をもとに入札単価の調整が行われます。なので、景況や季節変動などのマクロ要因が考慮されません。また、競合が入札額を急に上げてきたときになど、自動化ツールに任せていると最適化のスピードが間に合いません。やはり人が考えて運用することは必要です。

ツールはあくまでツール

自動入札ツールは確かに便利で、これを活用することで大幅な工数削減に繋がります。ただし、ツールはあくまでツールです。自動入札ツールは“入札管理”を自動で行ってくれるツールでしかありません。リスティング広告は入札以外にも色んな要素が絡んできます。ツールだけでは不十分な部分の単価の調整や、他の部分の最適化についても、しっかり考えましょう。

自動入札ツールの紹介

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この記事の著者

広瀬 信輔(ひろせ・しんすけ)

マーケティング情報サイト『Digital Marketing Lab』の運営者。

1985年、長崎県佐世保市生まれ。西南学院大学 経済学部 国際経済学科 卒業。

2008年、株式会社マクロミルに入社。現在は同企業のオンラインマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

株式会社イノ・コード 取締役 CMOも務める。

2017年、ディーテラー株式会社を創立。メディアプランニング、Web広告運用、SEO対策、Webサイト制作など、デジタルマーケティング領域のコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティングを支援。

2021年、公正取引委員会 デジタルスペシャルアドバイザーを受嘱。デジタル市場における競争政策の的確な運営のために活動。

著書:『アドテクノロジーの教科書』(版元:翔泳社)

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